王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 エメリーネが紅茶のカップをカチャリ遠くと、オディロンも射抜くような視線を向けてきた。
「アルマスに近い人間は、宝飾類を送ってきたのです。だけどそれ以外の人は、茶葉だったり花だったりと、自領の特産品が主なんです」
「ほう?」
「ラモン伯爵が言うには、ここ数年、この国は以前よりも経済状況が厳しくなっていると。領地経営のために必要な資金繰りをするのも、手を焼いているとか」
 オディロンは身体を傾け、長い足を組んだ。その仕草に、エメリーネは一瞬、幼い頃の彼を思い出したが、すぐに現実に戻った。
「恥ずかしながら、わたくしは自国の状況をわかっておりませんでした。国民が人としての最低限度の生活を送れるようにするのが、王族としての責務だと思っております」
「なるほどな。あれだけ泣き虫だったエメリーネ姫は、立派になったものだ」
「なっ……泣き虫って……」
 過去を掘り起こされ、エメリーネの頬が熱くなった。
「あの庭園で、俺とはぐれ、泣いていたのはどこの誰だ?」
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