王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
20.
 エメリーネの言葉に、オディロンは軽く息を吐き、鋭い視線を向けた。
「なぜ? その理由を聞く権利が俺にはあると思うが?」
「はい。テレジア神の教えです。補佐官は三人。わたくしの敵から一人、味方から一人、そしてそのどちらにも属さない者を一人」
 オディロンは黙って耳を傾け、その言葉を噛み砕くように目を細くした。
 エメリーネは静かに言葉を続ける。
「一人は決めてあります。わたくしの敵でも味方でもない者」
「それは、誰だ?」
「ヨハン・オウネル。シーラの婚約者です」
「ああ、オウネル侯爵家の……」
 オディロンの声には警戒がにじむ。
「だが、君は宰相閣下と縁を持ちたくないのだろう? オウネル侯爵家は宰相閣下の援助を受けているのでは?」
「だからです。わたくしの周囲を、反アルマス派で固めてしまえば、すぐに潰されます。だから、少しくらいアルマスの息がかかった者のほうがいいのです」
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