王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 国土を広げたいと思うのはどの国も同じだ。そこにガレッティ国内の統治能力の低下がくわわれば、相手国にしてみれば絶好の機会といえる。
 まさしくオディロンが言っていた内容と同じ話である。
「ただし……どうしても嫌だと言うのであれば……他に同士を幸せにしてくれる者を……。いえ、失礼しました」
 本来、神の声と称して言葉を紡ぐベルトルトだというのに、今日はどこか様子がおかしい。
「いえ、テレジア神。ありがとうございます。わたくしの考えも決まりました」
「縁談を受け入れると?」
 返事をする代わりに、エメリーネは小さく頷いた。
 向こう側にいるベルトルトがどんな表情をしているかはわからないし、エメリーネが頷いたところも見えたかどうかもわからない。
「……同士よ、王族の結婚には議会の承認が必要です。つまり、議会で認められなければ、婚約もできません」
 静かに響くテレジア神の声に、エメリーネも小さく「はい」と答える。
「腐敗し始めている議会で、出席者の過半数から承認を得られるのは難しいかもしれません」
 まさしくテレジア神の言うとおりである。
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