王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 また、ベルジュ公爵の屋敷を訪れた後に聖堂へ足を伸ばせば、たとえアルマスに見つかったとしても言い訳はなんとでもなる。彼の前では無知で無邪気で素直なエメリーネを演じていればいい。
 エメリーネの十七歳の誕生日パーティーでは、少し反抗的な様子にアルマスは怒りに満ちていたようだが、それ以降、彼の言葉に従うようにすれば、そのオーラも真っ黒いものから灰色、そしてくすんだ緑や黄色といったように変化していった。それを見れば、彼の感情とオーラは連動しているものと推測された。
 わかりやすい。
 考えは読めなくても、感情は見える。これはエメリーネにとって、最大の武器になる。
「ようこそいらっしゃいました、エメリーネ王女」
 五日前と同じ時間にベルジュ公爵邸に足を運べば、エントランスで出迎えてくれたのはオディロンその人であった。
「突然の訪問にもかかわらず、受け入れてくださったことに感謝いたします」
 先触れを出さずに訪れたため、形式にのっとった挨拶をするが、そもそも先触れ不要と言ったのはオディロンである。だからこれは周囲にいる使用人たちに悟られないようにするための演技なのだ。
 オディロンはエメリーネをエスコートしたまま、外に出た。案内された場所は、先日も足を運んだ東屋である。
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