王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「そうか……」
 緊張をまとわせていたオディロンの表情が、一気にゆるんだ。
「エメリーネ。俺はあらためて君に求婚する」
 いきなり立ち上がったオディロンは跪いた。いったい何が起こったのかと、エメリーネが目を丸くしている間に、彼がそっと左手に触れる。
「エメリーネ王女、どうか俺と結婚してほしい……本当は指輪を用意したかったのだが、アルマスに見つかっては厄介だろう?」
 彼はエメリーネの左手を取ると、そこに小さな宝石がいくつかちりばめられた腕輪をはめる。
「これくらいであれば、目立たないだろうから」
 お礼を言わなくはと思うのに、言葉と一緒に心臓が口から飛び出そうで、唇をはくはくと開け閉めするだけ。
 オディロンは何も言わず、エメリーネの言葉を待っている。
「……ありがとう、ございます」
 瞳を潤ませて、なんとかエメリーネはそれだけ告げた。
「拒まれたらどうしようかと思ったよ」
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