王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 しかしベルトルトのおかげで教皇が数年ぶりにガレッティ国を訪れることを知り、なんとか会って話を聞くことができた。
(だからあのとき、わたくしは……)
 悪女になりきって国民の不満を一気に受けることを決意した。そして、王政に不満を抱かせ、反乱を起こすようにと教皇らに伝えたのだ。もちろん彼らは反対したが、今の状況でエメリーネが国民の信頼を得るのは難しいだろう。だから、徹底的に悪女になりきると決めたのだ。
 オディロンが反乱軍を引き連れ、アルマスたちの首を取ったことでエメリーネの作戦は成功したと思えたが。
(だけど、どうしてわたくしは、五年前に戻ってきてしまったのかしら?)
 アルマスさえいなくなればいい。あのときはそれが叶ったはずだというのに、五年前に戻ってきた理由がわからない。
 そこでエメリーネはスプーンを置いた。ベルを鳴らしてシーラを呼ぶ。
 扉を叩く音が響き、シーラが控えめに現れた。
「エメリーネ様……お食事を終えたばかりで、このようなことを申し上げるのは恐縮なのですが……」
「えぇ、どうかしたのかしら?」
「あ、はい……タルボット宰相閣下が、パーティーに先立ち、特別な贈り物を用意されているそうです。ですから、エメリーネ様の準備が整いましたら、お部屋にうかがいたいとのことでしたが……」
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