王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「贈り物のお礼状は書き終わっていますよね?」
「えぇ……」
 ベルトルトから母のお礼状の話を聞き、それを模してなんとか書き上げ、アルマスに確認してもらったのだ。もちろん、そのときのアルマスからは不満が溢れ出しそうになっていたが。
「でしたら、贈り物のお礼にお茶会に招待しますと、そんな感じでいいのでは?」
「わかりました。目録から、招待する家門を選びます」
「そうですね、それがいいですね。ところでエメリーネ様」
 エリナがきらりと瞳を光らせる。
「貴族名鑑はどこまで覚えましたか?」
 貴族名鑑とは貴族の名前や地位、さらに歴史や特権まで記載されたものであり、本来であればエメリーネもこれを読み、覚える必要があった。
 しかし、一度目の人生では、貴族名鑑そのものを目にしたことがないし、それを見て覚えるという発想もなかった。
 女王に即位してからは、謁見の際には必ずアルマスが側にいて「あの者は……」「あちらは……」と耳打ちしてくれたからだ。つまり、貴族の顔を知らなくても、アルマスが教えてくれるから何も問題はなかったのである。
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