王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 アルマスならやりそうなことだ。
「でも、女性には女性のやり方があるんです。ベルジュ公爵はわかっていらしたみたいですけど」
 適材適所。オディロンは人を使うのに長けている。いや、そんな状況だからこそ、彼自身が師団を率いて戦場に立ったのかもしれない。
「リナ、あなたにこういうことを訊いていいのかどうかわからないのだけれど……ベルジュ公爵は、あなたが軍にいづらそうだと言っていたわ。だからわたくしの補佐官にって」
「あぁ……そうですね。私のいた医療班って、怪我人や病人の治療にあたるのが仕事なんですけど。あとは薬の管理とか? でも私、怪我人の治療をするよりは、毒や薬そのものを調べるほうが好きで。そうしたら、誰を毒殺するつもりなんだなんて冗談で言われるようになって。心の中では、宰相閣下だよって答えてたんですけど。でも、このままじゃまずいなって。自重しないといけないかなって」
「わかったわ、リナ。手が空いているときは、好きなだけ毒でも薬でも調べていいわ。もし、何かを作りたいとか実験したいとかあったら、遠慮なく言ってちょうだい」
「え? いいんですか!」
 リナが身を乗り出すと、エメリーネの両手をがしっと掴んできた。
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