王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 すると書類やら手紙を持ってきたコンストは、チラチラとそのカタログに視線を向けるものの何も言わず、書類を置いていく。その間、シーラもエリナも息を殺したようにじっとしており、彼が部屋を出ていってしばらくしたところで、三人はぷはっと息を吐いて笑い合うのだ。

 その日の夕方、エメリーネが聖堂を訪れたのは三日ぶりだった。静謐な空間も、雨が続いていたせいかどこかじめっとした感じがする。テレジア神の石像の前まで歩を進めようとすれば、一人の男性が熱心に祈りを捧げていた。跪き、両手を重ねて祈るその後ろ姿に、エメリーネの胸がトクリと音を立てた。
< 180 / 226 >

この作品をシェア

pagetop