王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「はい。存じ上げております」
「それでだ、エメリーネ王女。ベルトルトとは何を話したんだ?」
 突然、彼がこういった質問をする意味がわからない。
「わたくしは、テレジア神に教えを乞うただけです」
「だから、俺はまわりくどい言い方、曖昧な表現なんかは大嫌いだ。覚えておけ」
「はい、粗野なテレジア神には、はっきり伝えるということですね。そんなテレジア神に報告したいことがございます」
 そこでエメリーネは、先ほどもベルトルトに報告したように、補佐官が決まったとオディロンにも伝えた。
「コンスト・イングリス……イングリス伯爵家の者か」
「ご存じなの?」
「アルマスの腰巾着だろ? 親が親なら子も子だな。なかなか厄介な人物だな」
「わたくしは彼と四六時中、一緒にいるわけではありません。わたくしの執務室にいるのは、シーラとエリナだけよ? コンストとヨハンはアルマスが指導するとか言って、連れていってしまったから」
 衝立の向こうの気配が、ふっとやわらかくなった。
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