王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「それなら安心だな。変に監視をつけられては君も動きにくいだろう?」
 まさしくオディロンの言うとおりだ。アルマスたちに隠れて、今、この国に何が起こっているのかを調べているというのに、彼らに知られてしまったら邪魔をされるのが目に見えている。下手をすればまた、アルマスはエメリーネを力ずくで手に入れようとするかもしれない。
 おぞましい人生を思い出し、恐怖で震えそうになった身体を、エメリーネは自身で抱きしめた。
「どうかしたのか?」
 エメリーネの心情を敏感に察したのだろう。オディロンは探るように声をひそめ、エメリーネを案じるような声をかけてきた。
「いえ……ちょっと怖くなってしまって……」
「これが邪魔だな」
 コンコンとオディロンは衝立を叩いた。
「オディロン?」
「これがなければ……今すぐにでも君を抱きしめられたのにな」
 心臓が荒波に呑み込まれたかのように苦しかったが、それでも胸の奥はあたたかなもので満たされる。
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