王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 エメリーネはその間、招待客の一人一人にさっと視線を巡らせた。
 オーラが見える者と見えない者。その条件は、アルマス派の家門か、反アルマス派の違いとみていいだろう。
(この力、本当に便利だわ)
 オーラのおかげで誰がアルマスと繋がっているかはわかったが、その者を露骨に無視するわけにもいかない。ただ、反アルマス派の家門とは親しくしておきたいので、タイミングを見計らって声をかけよう。
 そこから話題は慈善活動へと移った。エメリーネも政務の一つとして社会奉仕に携わりたいのだが、何をどこから始めたらいいのかわからないと正直に口にすれば「エメリーネ王女は、とても謙虚なのですね」と前置きをしたクロック公爵夫人がべらべらとしゃべり始める。
 てっきり孤児院への慰問を勧められるのかと思いきや、公爵夫人は教育施設の支援を行ってはどうかと提案した。他にも劇場や、芸術家への支援など。
 それは慈善活動ではなくパトロンではないかと思ったが、エメリーネは笑顔を崩さず、夫人たちの話に耳を傾けていた。
 クロック公爵夫人の話が途切れたところで、エメリーネは「他の方ともお話をしてきますわね。公爵夫人もわたくしに気を使わず、お過ごしください」と、王女の自分がいては気も休まらないだろうからと、そんな含みを持たせて立ち上がった。
< 190 / 238 >

この作品をシェア

pagetop