王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 クロック公爵夫人は笑顔を向けてきたが、その背後には黒っぽいような赤のオーラが見える。
(赤……? アルマスもよくこの色をまとっていたわね。きっと何かしら企んでいるのでしょうね。それに……)
 エメリーネの視線はクロック公爵夫人の首元に注がれた。夫人が自慢げに見せている首飾りは、エメリーネも見覚えがあるものだ。
(お母様も似たようなものを持っていらしたわ。色が変わって見える不思議な宝石)
 公爵夫人の首飾りは気になるものの、今日の目的はそれではなく、味方となるような女性と縁を持つこと。
 エメリーネは、一人一人に声をかけ、誕生日の贈り物に対する礼を口にした。すぐにでもカウフ子爵夫人と話がしたかったが、エメリーネがいきなり声をかけては、他の者にも怪しまれてしまうだろう。この茶会では、できるだけ「平等」を心がけるつもりだった。
 やっとカウフ子爵夫人の番がやってきた。
「カウフ子爵夫人。誕生日には素敵な贈り物をありがとうございます」
「もったいないお言葉でございます。本日もこのように振る舞っていただき……」
「わたくし、こちらのシナモンティーをたいへん気に入りましたの。こちらを買い取ることはできるかしら?」
「買い取りですか?」
「ええ。わたくしだけでなく、他の者にも振る舞いたいし……できれば隣国への輸出も考えているのですが」
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