王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 エメリーネが声をひそめたところで、カウフ子爵夫人も状況を察してくれたようだ。
「夫に相談します」
「お願いしますね」
 それからエメリーネはニースン侯爵家や、オウネル侯爵家といった、反アルマス派の夫人たちにも声をかける。今日は、招待したすべての人と言葉を交わすつもりでいた。会話のきっかけは、誕生日に対する贈り物の礼を告げるところから。
「オウネル侯爵夫人、誕生日には素敵なお花をちょうだいし、ありがとうございます」
「いえ、あのようなものしかお送りできず、お恥ずかしいかぎりです。ところで、ヨハンは王女殿下にご迷惑をおかけしておりませんか?」
 息子のヨハンがエメリーネの補佐官として働いていることに気が気ではないのだろう。母親とは子どもがいくつになっても母親なのだ。
「はい。わたくしの至らぬ点を、助けていただいております」
 侯爵夫人が身体の力を抜くのが伝わってきた。
「ところでオウネル侯爵夫人。そちらの生花で相談があるのですが……」
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