王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 そこでエメリーネはオウネル侯爵領の花の質がどれだけ高いかを言ってきかせた。
「あの鮮やかな色は、近隣国……特に、ジオグ国では好まれると思うのです」
 オウネル侯爵夫人が言うには、国内における花の需要は年々減っており、どうしたらよいのかと悩んでいるとのこと。
 すでに、この国は豊かではないのだ。目に見えぬくらいの小さな穴のあいた桶から水が漏れるように、知らぬところからじわじわと資金が流れ出ている。その根源にいるのがアルマスなのだ。
「わたくしの知人が、オウネル領の花に興味を持っておりますの。紹介してもよろしいかしら?」
「はい。侯爵にも伝えておきます。是非ともよろしくお願いします」
 ひととおり、言葉を交わしたエメリーネが席に戻ると、すぐにクロック公爵夫人が「楽しめましたか?」と気遣うように声をかけてきたものの、やはり彼女のオーラは黒っぽい赤のままだ。
「はい。こうやって皆さんとおしゃべりするのは初めてで……時間を忘れそうになるところでした。ところでクロック公爵夫人には、わたくしと年の近いご令嬢がおりますよね?」
 公爵夫人のオーラがぶわっと勢いを増した。しかもその色が黒っぽい黄色へと変化する。
(黄色や緑は、機嫌が良いとき。どうやら、この話題は正解だったみたいね)
< 193 / 232 >

この作品をシェア

pagetop