王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「なんだと……? いったい、何があったんだ?」
「理由はわかりません。もしかしたら、母親との思い出の品をと思っているだけかもしれません」
「なるほど。まだ幼いエメリーネ王女らしい」
 そう答えてみたものの、どうやってその話を断ろうかとアルマスは頭の中で考えを展開させる。
 ――トントントン……。
 扉の叩く音でアルマスは息を詰める。
「アルマス、わたくしよ? 今、お時間、大丈夫かしら?」
 ここで断っても変に思われるだろう。それに、エメリーネのほうからアルマスを頼ってきているのだ。
「どうされました? エメリーネ様」
 エメリーネに警戒心を与えぬよう、笑顔で応じれば彼女も安心したのか、はにかんだように微笑み返す。一時期は反抗的な姿を見せるようになったが、今では子猫のようになついてくるではないか。
(補佐官をつけたのがよかったのかもしれない……)
 チラリとコンストを横目で見て、内心ほくそ笑む。
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