王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「あとは、おまえだけだ」
 落ち着いた声のオディロンは激情すら制御できるのだろう。
 エメリーネは女王として気高く口角を上げ、高慢に言い放つ。
「アルマスもコンストも口ほどにはないのね……。残念だったわ」
 オディロンの眉がわずかに動く。
 エメリーネの側近だった大臣たち、そして婚約者だった男さえ、すべて彼の手に落ちた。
「もうおまえの味方は誰もいない。俺がすべてこの手で彼らの首を取った」
 やはりその手にある剣が血に染められているのは、彼らの息の根を止めたからだ。その首を城門に晒し、女王エメリーネの時代は終わったと、見せしめるに違いない。
「そう……」
 エメリーネは銀青のまつげを伏せ、背後の火柱が爆ぜる音を聞いた。
 このまま炎に包まれて二十二年の人生に終止符を打つのも悪くはない。
 エメリーネは二年前、二十歳でガレッティ国の女王に即位した。国王が崩御したため、第一継承権を持つエメリーネが女王となった。
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