王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 うら若き可憐なる女王の誕生に、国はざわめいた。なによりもエメリーネは「悪女」としてその名を轟かせていたのだ。この国の将来を憂える国民が大半だったという。
 女王を支えるはずの大臣たちは反対者を次々と処刑し、権力と脅しで忠誠を強いた。その結果、エメリーネの悪名はさらに広まり、人々を絶望へと追いやった。
 ――気に食わない者の首をすぐにはねる。
 ――領地を没収し路頭に迷わせる。
 ――奴隷にまで落とされた者もいる。
 ――王城は賄賂と薬物にまみれている。
 いつしかそんな噂が広まっていたのだ。いや、それが噂ではなく事実。
 だがそれはエメリーネが指示したことではない。エメリーネを飾りの女王として、政治の実権を握っていたのは、父親と同年代の宰相アルマス・タルボットと老獪な大臣たち。
 彼らはすべての汚名をエメリーネにかぶせ、自分たちは好き勝手に振る舞っており、賄賂も薬物も彼らによるものだ。
 そしてエメリーネとアルマスの強制された結婚。エメリーネが逃げないようにと、アルマスは狡猾に純潔を奪った。
< 3 / 29 >

この作品をシェア

pagetop