王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 まるで舌なめずりでもしそうなアルマスの言葉に辟易しながらも、エメリーネは笑顔を崩さない。
「ご忠告ありがとう。では、わたくしのほうから陛下に進言いたしますわ。わたくしの婚約者は、身分よし、見目よし、地位よし、そして精力的な若い殿方にしてねと。そうすればアルマスも安心なさるでしょう?」
 若い殿方、とエメリーネが口にしたときには、アルマスの唇の端がヒクリと動いた。彼を覆う黒い空気が、ぶわっと勢いを増し蛇のように這う。
「エメリーネ様。何か勘違いされているようですが、若いからといって精力的とも限らないのですよ?」
「そうなのね? 無知でごめんなさい。それよりも、早くプレゼントをいただきたいわ。これからパーティーの準備をしなければならないでしょう? 時間がとれるのも、今だけなの。あなたからの特別な贈り物と聞いたから、合間を縫って来たのよ?」
 これ以上、婚約者の話を続けたくはなかった。エメリーネがどう答えても、アルマスは王配の座を狙っているのだから。
「失礼しました」
 軽く頭を下げたアルマスは、執務机の一番下の引き出しからリボンのかけられた箱を取り出した。
「こちらを是非に、エメリーネ様にと。今日のドレスに映えるかと」
「まぁ、ありがとう。アルマス」
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