王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「かしこまりました」
「シーラはこのお茶を淹れるのがとっても上手なのよ」
 シーラはアルマスの秘書官にお湯や茶器の場所を尋ねている。彼女にはまだ、エメリーネのために働いてもらおう。
「ところでエメリーネ様。王妃殿下の宝飾類を確認したいと、コンストから聞いたのですが……」
 アルマスのほうからこの話を切り出せば、彼女だってこの件を疑ったりはしないだろう。
「ええ、そうなの。お茶会でクロック公爵夫人が素敵な首飾りをつけていらしたの。わたくしも公爵夫人を見習いたくて、お母様の宝飾類を借りようと思って……」
「エメリーネ様にはエメリーネ様の良さがありますから。何も公爵夫人の真似をなさる必要はありませんよ?」
「でも、お母様がどのような宝飾類を持っていたか、確認するのも娘の役目ではなくて?」
 なるほど、とアルマスは頷く。
「では、コンストに目録を用意させましょう。まずはそちらで確認していただくのがよいかと」
「ありがとう、アルマス。やはりあなたに頼んでよかったわ」
 アルマスに感謝の意を示し、心からの笑みを浮かべるエメリーネの姿に、アルマスの胸の奥がざわりと音を立てる。
 ちょうどそのとき、お茶の用意を終えたシーラがカップを並べた。
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