王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「アルマスには悪いけれど……無知なエメリーネ王女を望んでいるのはアルマスよ? そんなわたくしからのプレゼントなのだから、仕方ないわよね? だってわたくしはアルマスに元気でいてほしいだけなの。だからお茶をたくさん送るのよ?」
「エメリーネ様からの贈り物であれば、宰相閣下も喜ばれるかと思います」
 アルマスが父や母にした仕打ちに比べればかわいいものだろう。エリナがいれば、彼に気づかれぬよう、じわじわと毒を盛ることだって可能かもしれない。だが、彼が今まで行った所業をすべて明らかにしたうえで、しかるべき裁きを与えたかった。それが、前の人生でこの国を破滅に導いたエメリーネなりの償いなのかもしれない。
 肩をぐるりと回し、身体も頭も解れたところで、エメリーネはコンストから渡された目録を机の上に広げる。
「エメリーネ様、それは?」
 エリナが興味津々といった様子で顔を寄せてきた。
「お母様の宝飾類の目録よ。先日、お茶会を開いたでしょう? そのとき、クロック公爵夫人の首飾りが、お母様が持っていたものとよく似ていたから……」
「どのような首飾りですか?」
「光に当たると色が変わる宝石がついているの」
 エリナ顎に手を当て、視線を宙に向ける。
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