王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 それは一度目の人生もそうだった。特に社交デビューしてからは、なんやかんやと理由をつけられ父王と会うことすらままならなかった。そうやってエメリーネは孤立し、そこを巧妙に狙ったのがアルマスだったのだ。
 今だって、エメリーネの誕生日パーティー以降、父王は体調を崩し寝込むことが多くなり、食事も別々にとるようになった。
 そして、父王に代わって政務をこなしているのがアルマスである。いや、アルマスだけではない。彼の息のかかった者たち。こうやって少しずつ、じわじわとこの国はアルマスの手に堕ちていくのだ。
「そうですね。では、私が陛下の様子を確認して参ります。今日は無理でも、明日でも、明後日でも、体調のいい日にお会いしたいとお伝えすればよろしいですか?」
 とにかく、ここで何がなんでも父王と接触を持っておきたい。
「ええ、お願い」
 さすがに国王はその日は会うことはできないという答えであったものの、次の日、体調のいい時間を見計らってエメリーネに会うという約束を、エリナが取り付けてくれた。
 いったいエリナがどんな話術で約束を取り付けたのか気になるところだが、彼女はそれを決して教えてはくれなかった。

< 206 / 226 >

この作品をシェア

pagetop