王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「あなた……よくもそこまで調べられたわね」
「そうだな。俺に恩を売っておこうと思う者が多いようだ。みな、喜んで協力してくれる」
 この衝立の向こうで、彼がふっと笑ったような気がした。
 エリナも言っていたように、オディロンは人を使うのがうまい。きっと協力者がその鉱山にいるのだろう。
「あそこの鉱山では、いったい何が採れるんだろうな……」
 オディロンの言葉が、エメリーネの胸に突き刺さった。
 とはいえ、エメリーネにアルマスの鉱山をどうにかする力はなく、これはオディロンに任せるしかない。
 エメリーネにはエメリーネのできることをすべきだと、オディロンは静かに言い放つ。
 目の前の衝立が、これほど邪魔だと思ったことはなかった。

 エメリーネは慈善活動の一つとして孤児院の慰問を計画していた。訪れる孤児院も、王都の外れにあり女子修道院に併設されている場所を選んだ。修道院ではテレジア神の教えに従って共同生活を送っており、生活は質素倹約、彼女たちは独身を守る。
 しかし最近では、修道士、修道女となり、テレジア神に一生を捧げたいという者が増えているらしい。
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