王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 もちろん当時のエメリーネはその理由など知るわけがない。アルマスに言われるがまま、その場で首飾りをつけられ、そして肌をべたべたと執拗に触れられた。
 こうやって思い出すだけでも不快極まりない。
 彼に肌を触られるなど、この人生であってはならない。
 だからエメリーネは、自室からアルマスの執務室へと向かう間、シーラに命じていたのだ。いくらアルマスからの特別な贈り物といっても、中身のわからぬ物は決して受け取らない。だから、シーラが確認したうえで、受け取りたいと。
 もちろんシーラはそれに同意するし、むしろそれが本来の手順だとまで口にする。だがシーラとしてはアルマスには逆らえないため、エメリーネから命じてほしいと。
 そこでシーラも何かを決意したかのように表情を硬くした。
 王妃が亡くなってからというもの、エメリーネにそういったしきたりを教えてくれる者はいなくなってしまった。
 家庭教師は社交や周辺諸国との表面的な関係を教えるだけ。思い返せば、エメリーネに深い知識をつけさせないよう、表面だけの教育だった。
(だから、悪女に仕立て上げられた。お母様が亡くなってからは、アルマスの言いように操れるようにと、わたくしは学ぶ機会すら奪われていたのだわ)
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