王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 教皇たちに決意を示したあの日以降、聖堂で祈りを捧げるように見せながらも、そういった教育を施してくれたのはベルトルトと彼の父だった。短い時間ながらも、彼らは濃密な知識と助言をエメリーネに授けてくれた。それを今、生かすときが来た。
 アルマスには屈しないという思いが、あらためてエメリーネの心に宿る。
「では、こちらをエメリーネ様に」
 観念したのか、アルマスは渋々シーラに箱を手渡した。とその瞬間、彼をまとう空気は赤から黒に戻る。
「では、この場で中身を確認させていただきます」
 凜とした口調で、シーラはアルマスに許可を求めた。
 アルマスは何も言わなかったため、シーラがそのままリボンを解く。
 箱の中から出てきたのは、やはりアルマスの瞳の色と同じ、苔のような色の宝石が埋め込まれた首飾りだ。シーラはそれを持ち、毒針や毒の仕込みがないか確認する。
「エメリーネ様。こちら、特に問題はございません。このまま、受け取りますか?」
「ええ、そうね。せっかくのアルマスの好意ですもの。いただきましょう。ありがとう、アルマス」
「いえ。このたびは、十七歳の誕生日、おめでとうございます。可能であれば、その首飾りをつけてパーティーに出席していただければと思いますゆえ」
< 23 / 49 >

この作品をシェア

pagetop