王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 ここ一年、国王が朝議の場で自ら発言することは滅多になかった。そのせいか、一同はざわりと身体を震わせた。しかし、オディロンだけは表情を変えず、腕を組んで堂々と座っている。
「我が娘エメリーネも、先日、社交デビューを果たした。そろそろ娘の結婚相手を考えたい」
 ただでさえ国王が発言したことで、普段と異なる朝議の場だというのに、その内容がエメリーネの結婚相手となれば、一同は息を呑んで言葉の続きを待つ。
「陛下、よろしいでしょうか」
 アルマスが発言の許可を求めてきた。国王は頷き「許す」と答える。
「陛下がおっしゃることはもっともですが……エメリーネ王女の婚約者として、幾人か候補があがっていたと思います。そちらから決めるということでしょうか?」
 大げさに両手を広げるアルマスだが、彼もまたエメリーネの婚約者候補として名はあがっている。家柄と地位、教養などなど、さまざまな観点から総合的に判断して、王配にふさわしいという男性の幾人かの名前があげられているのだ。
「それとも、他国から迎えるということでしょうか?」
 国王のこめかみがぴくりと動いた。
「エメリーネの婚約者に、オディロン・ベルジュ公爵。そなたを指名する」
< 228 / 243 >

この作品をシェア

pagetop