王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「それは、わたくしが決めること。あなたの指図は受けません。……行くわよ、シーラ」
 必要な物は受け取った。
 アルマスの執務室を去るエメリーネの背に、ヒリヒリと鋭い視線を感じたが、後ろを振り返らなくてもわかる。その視線の主はアルマスだ。
 彼はエメリーネを無知な王女だと思っていたのだろう。その悔しさが伝わってくる。
 エメリーネは勝ち誇った笑みを浮かべて、自室へと足を向けた。
 しかしそれよりも、アルマスにつきまとう黒いものはいったいなんなのか。
 帰り際、秘書官にチラリと視線を向けたときは、彼は灰色の空気に囲まれたままだった。
 なぜ、突然そんなものが見えるようになったのだろうか。
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