王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「アルマスがそこまで言うなら仕方ない。では、こうしたらどうだろうか」
 いったい父は何を言い出すのだろうか。先日、オディロンとの仲を認めたような発言をしたというのに。
 エメリーネは内心、焦りを覚えていた。チラリとオディロンに視線を送ってみたが、彼は相変わらず涼しい顔をしている。その表情からは感情はいっさい読み取れない。
「ベルジュ公爵は、候補の一人だ。他にもエメリーネの伴侶としてふさわしいと思う者がいるなら検討しよう。自薦でも他薦でもかまわん。一か月後、議会にかける。どの者がエメリーネにふさわしいかをな」
 父王が堂々とここまで言い放つのは、エメリーネにとっても予想外であった。
 至るところで、黒や灰色のオーラが勢いを増している。
「エメリーネもそれで問題ないな?」
 父の勢いに負けて、エメリーネも「はい」と答えてしまった。
「では、以上」
 朝議が終わったことを告げられ、エメリーネはのろのろと席を立つ。
「お父様……」と隣の国王に声をかけようとしたが、それよりも先にアルマスが国王に耳打ちしていた。
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