王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「ええ、リナの言うとおりよ。先ほど、陛下はわたくしの結婚について言及なさったわ。そして婚約者にベルジュ公爵を指名したのだけれど……」
 シーラがコトリとカップを置いた。エメリーネはそれを手に取ると、ゆっくり香りを吸い込んでからお茶を口に含んだ。
「はぁ……落ち着くわね。ありがとう、シーラ」
「エメリーネ様。落ち着くのはいいんですが、先ほどの話の続きを教えてください。ベルジュ公爵を婚約者に指名した後、何があったんですか?」
 エリナは気持ちをやきもきさせているのか、身体を小刻みに震わせていた。
「あぁ……アルマスが邪魔をしてきたのよ。だから、わたくしと結婚したい人は名乗り出るようにと、お父様が。そこで名乗りをあげた者たちから、わたくしの婚約者にふさわしい方を選ぶつもりみたい」
「うわ~、絶対に宰相閣下、立候補しちゃいますよね? エメリーネ様にふさわしいのは私だとか言いそう」
 相変わらずエリナはアルマスに関しては毒を吐く。
「そうね。だから、あとはこちらの味方を増やすだけよ? 議会でアルマスではなくオディロンを選んでくれそうな人をね。あなたたち、お願いよ?」
 シーラとエリナは、小さく顎を引いた。
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