王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
35.
(なんてことだ……)
握りしめたペン先が書類に沈み、インクの染みを作っている。
(なぜ、エメリーネ王女の婚約者にオディロン・ベルジュの名があがったのだ……)
執務席でペンを握りながら身体を震わすアルマスに、誰も声をかけられない。
(そろそろ、陛下にも消えてもらおうか……)
ペンを置き、インクが滲んだ紙をくしゃっと丸めて床に落とす。
「コンスト」
名を呼ばれただけだというのに、低く響くアルマスの声に、コンストは大きく身体を揺らした。
「は、はい」
「お茶を淹れろ」
お茶を用意するのは秘書官の仕事ではない。ましてコンストは王女付きの補佐官であって、アルマスの直接の部下ではないというのに、そんなことはお構いなし。
「はい。お茶はいつものでよろしいですか?」
「そうだ」
握りしめたペン先が書類に沈み、インクの染みを作っている。
(なぜ、エメリーネ王女の婚約者にオディロン・ベルジュの名があがったのだ……)
執務席でペンを握りながら身体を震わすアルマスに、誰も声をかけられない。
(そろそろ、陛下にも消えてもらおうか……)
ペンを置き、インクが滲んだ紙をくしゃっと丸めて床に落とす。
「コンスト」
名を呼ばれただけだというのに、低く響くアルマスの声に、コンストは大きく身体を揺らした。
「は、はい」
「お茶を淹れろ」
お茶を用意するのは秘書官の仕事ではない。ましてコンストは王女付きの補佐官であって、アルマスの直接の部下ではないというのに、そんなことはお構いなし。
「はい。お茶はいつものでよろしいですか?」
「そうだ」