王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 それでもオディロンは、オウネル侯爵にはまだアルマスに従順な振りをしろとも言ったらしい。いきなり距離を取ると、アルマス本人も疑い出すからというのが理由である。
 だがヨハンも家に余裕が出てきたことに気づいているのだろう。それが彼のオーラに表れていた。もしかしたら、そのうちヨハンのオーラも見えなくなるのだろうか。
 ――コンスト・イングリスは、宝物庫から盗みを働いて、国内で売りさばいていた。
 国内で売ったらバレるだろうにと、オディロンは小さな窓の向こうで笑いをかみ殺していた。
 ――少々脅しておいたからな。コンストのほうで盗んだ宝飾類は、俺のほうでできるだけ回収しておいた。今頃、宝物庫に戻っているだろう。
 オディロンがまとめる第一師団には、どうやら優秀な軍人が多いらしい。いや、エリナの言葉を借りれば、オディロンは人を使うのがうまい。つまり、相手の能力を最大に引き出すことに長けている。だから、売られた宝飾類がどこにあるのかを調べ、買い戻したらしい。
(でも、宝物庫にあるべきもののいくつかは、なくなったままだわ……)
 その一つがジオグ国から贈られた、例の首飾りである。
「お母様の宝飾類を確認したいの。宝物庫へ行くので、手伝ってもらえないかしら?」
 コンストは、小さく身体を震わせた。
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