王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
エメリーネを諭すような口調で語りかけるアルマスのオーラは、真っ黒である。父王が、エメリーネとオディロンの婚約を口にしたあの日以降、アルマスのオーラは日に日に黒さを増しているようにも見えた。これ以上、黒くならないのではと思うくらい、真っ黒なのだ。
「警備が行き届いているはずの王城で盗みがあったと、他の者に知られては舐められてしまいます。エメリーネ様、あなたは今、大事な時期でしょう? ベルジュ公爵との関係を議会で認めてもらいたいなら、騒ぎを大きくしないことです」
にやりと笑うアルマスに、心の中で怒りを覚えるエメリーネだが、それは決して表情には出さない。
(つまり、宝飾類がなくなったことを黙っておけと言いたいのよね)
アルマスに従順な振りをして、にっこり笑ってエメリーネは答えた。
「わかりました。アルマスの言葉に従います。あなたたちも今、見聞きしたことは決して口外しないように」
コンストとヨハンは怯えたように「はい」と返事をするが、それはこの場にアルマスがいるからだ。
エリナだけは堂々と返事をしたが、心の中ではきっとアルマスについて悪態を放っているにちがいない。そしてエメリーネを大女優だと言いながら、笑いを必死に堪えているのだ。
「では、わたくしは部屋に戻ります。ヨハン、コンスト、付き合ってくれてありがとう。あとはアルマスの指示に従ってちょうだい」
「警備が行き届いているはずの王城で盗みがあったと、他の者に知られては舐められてしまいます。エメリーネ様、あなたは今、大事な時期でしょう? ベルジュ公爵との関係を議会で認めてもらいたいなら、騒ぎを大きくしないことです」
にやりと笑うアルマスに、心の中で怒りを覚えるエメリーネだが、それは決して表情には出さない。
(つまり、宝飾類がなくなったことを黙っておけと言いたいのよね)
アルマスに従順な振りをして、にっこり笑ってエメリーネは答えた。
「わかりました。アルマスの言葉に従います。あなたたちも今、見聞きしたことは決して口外しないように」
コンストとヨハンは怯えたように「はい」と返事をするが、それはこの場にアルマスがいるからだ。
エリナだけは堂々と返事をしたが、心の中ではきっとアルマスについて悪態を放っているにちがいない。そしてエメリーネを大女優だと言いながら、笑いを必死に堪えているのだ。
「では、わたくしは部屋に戻ります。ヨハン、コンスト、付き合ってくれてありがとう。あとはアルマスの指示に従ってちょうだい」