王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
コンストとヨハンは恭しく礼をする。
エリナと共にアルマスの前を通り過ぎようとすれば、彼の視線は執拗なほどエメリーネを追ってくる。そこでエメリーネは彼の前で立ち止まる。
「アルマス。顔色が悪いけれど、お疲れではないの? たまにはゆっくり休んだらどうかしら。あなたが倒れたら、わたくしもお父様も困るもの……」
まるでエメリーネの指摘が意外だったとでも言いたげなアルマスだが「お気遣いいただき恐縮です」と頭を下げた。
緊張の糸が張り詰めたような空間から、気持ちも解放される執務室に戻ってきたところで、エメリーネはほぅと息をついた。
「まさか、あのタイミングでアルマスが来るとは、思ってもいなかったわ」
ソファにだらしなく身体を預けるエメリーネに「そうですね。誰かが告げ口したんでしょうね。宰相閣下の手先はたくさんいますから」とエリナはあっけらかんとしたものだ。
「でも、目的は達成されたわ」
エメリーネはシーラが淹れたお茶に口をつける。
「そうなんですか?」
「ええ。どの宝飾類がないのか、それを確認したかっただけだから」
カップを戻しながら、エメリーネは答えた。
エリナと共にアルマスの前を通り過ぎようとすれば、彼の視線は執拗なほどエメリーネを追ってくる。そこでエメリーネは彼の前で立ち止まる。
「アルマス。顔色が悪いけれど、お疲れではないの? たまにはゆっくり休んだらどうかしら。あなたが倒れたら、わたくしもお父様も困るもの……」
まるでエメリーネの指摘が意外だったとでも言いたげなアルマスだが「お気遣いいただき恐縮です」と頭を下げた。
緊張の糸が張り詰めたような空間から、気持ちも解放される執務室に戻ってきたところで、エメリーネはほぅと息をついた。
「まさか、あのタイミングでアルマスが来るとは、思ってもいなかったわ」
ソファにだらしなく身体を預けるエメリーネに「そうですね。誰かが告げ口したんでしょうね。宰相閣下の手先はたくさんいますから」とエリナはあっけらかんとしたものだ。
「でも、目的は達成されたわ」
エメリーネはシーラが淹れたお茶に口をつける。
「そうなんですか?」
「ええ。どの宝飾類がないのか、それを確認したかっただけだから」
カップを戻しながら、エメリーネは答えた。