王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「王女様。今日は特別な客人を呼んであるんだ。今日は王女様との交流の場だろう?」
「まぁ、どなたかしら。先ほどからあなたと一緒にいた方かしら?」
「気づいていたのか?」
「あなたと一緒にいれば、嫌でも目に入るでしょう? どちらの方?」
「なるほど。世間知らずで箱入りの王女様は、他国の者まではわからないようだ」
 オディロンらしい言い方だ。どうやら彼が連れているのは、他国の重鎮で、かつエメリーネの知らない人物。デビュタントのときには、周辺国の王やそれに近い者たちが参加していたが、そこに彼の顔はなかった。
「やはり、俺とのダンスの間に他の男を考えられるのは、不愉快だな」
「きゃっ」
 オディロンがエメリーネを持ち上げると、真っ赤なドレスの裾がふわりと揺れる。
「前は最後まで踊れなかったからな」
「そうね。さすがに今日は途中退場とはいかないわね」
 ちらっと黒いオーラに目を向けてから、もう一度オディロンの顔を見やる。
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