王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「次は誰と踊るつもりだ?」
「宣戦布告といきましょうか?」
 その答えで、オディロンも次の相手を理解したようだ。音楽が切れたところで互いに礼をして、ダンスの輪から抜けた。
 給仕からグラスを受け取り、乾いた喉を潤すエメリーネに声をかけてきたのはアルマスだ。
「エメリーネ王女、どうか一曲、お相手願えますか?」
 給仕に飲みかけのグラスを預けたエメリーネは、すかさずアルマスの手を取った。
「喜んで」
 花もほころぶような笑顔を向ければ、アルマスも油断したのか相好を崩す。
「エメリーネ王女とこうして踊れるとは、感慨深いものがありますな。ほんの少しまでは小さな姫様であられたのに」
「そうね。アルマスには昔から世話になりっぱなしだったわね、キャッ」
 突然、アルマスがよろめいたため、エメリーネもバランスを崩してしまい、驚きの声をあげた。
「失礼。どうやら久しぶりすぎて、勘が鈍っているようです」
「アルマス、いつも言っているでしょ? あなたが倒れたら困るのよ。無理をしてはいけないわ」
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