王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「こうしてお会いするのは初めましてですね。ジオグ国から参りました、レジスと申します」
 胸元に手を当てるレジスは気品に溢れており、彼の背後には緑色のオーラが見えた。だが、それはものすごく薄いものだ。
「私と一曲、踊っていただけますか?」
 エメリーネがこうしてレジスと顔を合わせるのは初めてである。誕生日パーティーに来たのは、彼の両親、すなわちジオグ国の国王夫妻であって、レジスはいなかったのだ。
「喜んで」
 エメリーネがレジスの手を取ったところで、ざわりと周囲が騒がしくなった。
「ジオグ国の……」「王太子……」とささやき声が聞こえてくる。
「お顔を存じ上げず、申し訳ありません」
 エメリーネが苦笑しつつ謝罪の言葉を口にすれば、彼もまた穏やかな笑みを浮かべる。
「先日のパーティーにも出席したかったのですが、その日は都合が合わなかったもので。今日、このような催しものが開かれると聞いて、ベルジュ公爵に誘ってもらったのです」
「ベルジュ公爵とは仲がよろしいのですか?」
 オディロンが彼と懇意にしているとは聞いているが、エメリーネがあえて尋ねたのは、レジスとの会話を盛り上げるためでもある。
< 250 / 282 >

この作品をシェア

pagetop