王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 レジスの前か、オディロンの口調も丁寧なものだ。この彼の役作りに、エメリーネは心の中で噴き出しそうになるのを堪えた。
「はい。ジオグ国のレジス王太子ですよね」
「覚えていただき光栄です」
「大げさですわ」
 エメリーネが口元に手を当てくすりと微笑めば、周囲のざわめきがいっそう強くなる。
 どうやら彼らは、エメリーネがどちらを選ぶのかということに興味津々らしい。
 自国の若き公爵オディロン・ベルジュか、友好国ジオグ国の王太子レジスか。
「ジオグ国は母の母国ですので、以前からお話をうかがいたいとは思っていたのです。ただ、今まではそういった機会がなくて……」
「深窓の王女様だからな」
 ぼそりと呟くオディロンに、エメリーネはキリッと鋭い視線を向ける。
「なるほど。君たちはそういう仲なのか。これは友人として応援するしかないな」
 大口を開けて笑うレジスは、親しげにオディロンの背をバンバンと叩く。
「レジス、エメリーネ王女を任せていいか?」
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