王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「ティアラも赤いものを」
 赤――。
 それは王族の象徴とも言われる色。王族の血を引く者は、瞳が赤いからだ。
 王妃が赤い宝飾品を好んで身につけていたのは、国王の瞳の色にちなんでいるとも言われている。そのため母の形見の品は赤い宝石のものが多く、彼らの愛情が宿っている。
「エメリーネ様、お似合いです」
 シーラがうっとりと言うものだから、エメリーネは微笑みを返した。鏡に映る自分は、かつての無知な王女ではない。両親を失い、悪意に晒された二十二歳の強さを持つエメリーネだ。
「陛下の準備も整ったようです」
 エメリーネをエスコートするのは、もちろん父王である。
 王妃が亡くなって以降、気力を失いがちな国王だが、それでも今日は特別な日だ。エメリーネのデビューを誰よりも喜び、王妃にもこの姿を見せたかったと涙ぐむほど。
「お父様、しっかりなさってくださいな」
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