王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
39.
 交流パーティーから十日が過ぎ、議会が開催されることとなった。
 ガレッティ国唯一の王女であり、王位継承権第一位のエメリーネの婚約者を決める場であるため、朝議に参加している貴族たちの他にも、子爵や聖職者にも採決権がある。それによってこの場に集まったのはざっと三百人ほど。基本的には採決は多数決で行われ、過半数を超えればその案は認められるというものだ。
 今回の場合は、エメリーネが名指しした者を王女の婚約者として認めるか否か。
 そして友好国の王太子は、ガレッティ国の議会にも興味があるようで見学を希望していた。いや、レジスだってエメリーネの結婚相手の候補の一人なのだ。と、そんな理由で国王が認めてしまえば、誰も反論できない。
 エメリーネは、この日も赤いドレスを身にまとった。王族の色でもあるという赤を身につけることで、自分の地位を誇示しているつもりだった。特にアルマスに向かっての宣戦布告でもある。
 父王の後についで議会場へと入ると、室内はすでにさまざまなオーラであふれかえっていた。ひときわ黒いオーラを放っているのは、会場の前方に座るアルマスだ。国王と王女の入場に、率先して席を立ち、頭を下げる。他の者もそれにならい、国王が右手を挙げたところで、静かに着席する。
 定期的に開催される朝議は、参加する人数も限られているため、会議室の円卓を囲って行われる。
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