王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 しかし、議会となれば国内の貴族と聖職者が集まるため、国王が座る壇上からは出席者の座る場所は扇形に、そして階段状に広がっていた。
 国王とエメリーネが静かに着席すると、アルマスが前に進み出て声を張り上げた。
「では、本日はエメリーネ王女の婚約について、審議いたします」
 この場を取りしきるのは、宰相のアルマスである。彼の言葉によって議事は進む。
「エメリーネ王女、お願いします」
「はい」
 にこりともせず、エメリーネは音もなく立ち上がる。
「先日、わたくしも社交デビューを果たし、半年後には成人王族として認められます。それに先立ちまして、生涯の伴侶となる者を皆様に認めていただきたいのです。みなさんもご存じのように、我がガレッティ国では王位継承権を持つ者が二人しかおりません。わたくしに課せられる責務は重いものだと自覚しております。ですがそのようなときに、身近に愛情をもって寄り添ってくれる者がいれば、その責務に押しつぶされることなく、王族としての義務も果たせるものと思っております」
 穏やかでありながらも凜とした声に、誰もが黙って耳を傾ける。
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