王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 アルマスは大きく頷く。
「そこまで調べていただき、感謝する。鉱山で働く者には、地下水を飲まないように、鉱物に触れるときには細心の注意を払うように今すぐ伝えよう」
「ほぅ。宰相閣下は、鉱物が人体にとって有害であるというのは知らなかったと?」
「もちろんだ」
 相変わらずアルマスは白々しい男だ。この場にその鉱物があれば突きつけられるのにと、エメリーネは歯がゆい思いをしていたが、ここはオディロンに任せるべきだろう。
 彼に力強い視線を送ると目が合った。
 ふっと、余裕に満ちた笑みを浮かべるオディロン。
「申し訳ありません、話がずれてしまいました。そういえばクロック公爵。公爵が、珍しい宝石のついた首飾りを夫人にお贈りしたと聞いておりますが。何やら光りの加減によって色が変わる宝石だと」
 急に話を振られたクロック公爵は、あたふたし始める。
「ええ、イニドロス国に足を運んだときに見つけまして……妻が気に入ったので買ったものです。私は決して不正など」
< 273 / 282 >

この作品をシェア

pagetop