王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 それから逃げるようにして、エメリーネはベルトルトの元へと向かった。ベルトルトもこちらに向かって歩いてくる。
 アルマスが近づくよりも先に、ベルトルトがエメリーネの手を取った。
「エメリーネ王女。どうか一曲、踊っていただけないでしょうか」
「ええ、喜んで」
 ベルトルトであれば、二曲目の相手にふさわしい。聖職者でありながら、エメリーネの幼馴染みというのは、王城に出入りできる身分の者であれば誰でも知っている事実。
「ありがとう、ベルトルト。気づいてくれて……」
「いえ。父からもエメリーネ王女とは一曲踊るようにとは言われていたんです。ただ、そのタイミングがわからなくて……」
「ええ、わたくしもよくわからないわ。だけど、踊りたくない相手がいるのよね。そういうときは断ってもいいとは教えてもらったのだけれど、始まってすぐに断るのもねぇ?」
 ベルトルトがエメリーネをくるりと回転させる。ドレスが優雅に揺れ、観衆の視線が集まる。
「そうですね。疲れたのでという理由にしても、さすがに一曲踊っただけで疲れてしまっては……」
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