王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 窓際のソファにゆったりと座り、その手には湯気の立つカモミールティーの入った陶器のカップが握られている。蜂蜜をたらした甘く優美な香りが漂い、疲れた心をほぐしてくれる。
 月光がレースのカーテンを通して、やわらかく入り込む。
(それにしてもあのオーラはいったい……)
 エメリーネはふと視線をカップから遠ざけ、考えを巡らせた。
 あのオーラについてわかったのは、三種類あるということ。
 アルマスのように黒っぽいオーラをまとう人間。
 そして彼とは対照的にオディロンのようにオーラのない人間。もしかしたら、オーラが無色透明なのかもしれない。
 それから緑や黄色といった穏やかなオーラに包まれる人々もいた。
(黒っぽいオーラを持つ人間は、きっとアルマス派の者たちね。悪意の現れかしら?)
 だからアルマスの執務室にいた秘書官も灰色のオーラだったのだ。
 他にも一度目の人生で、アルマスとともにエメリーネを悪女に仕立て上げた者たちも、同様の暗いオーラを放っていた。
(とにかく、黒っぽいオーラの人間には気をつけなければならないわね)
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