王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「失礼しました、エメリーネ様。エメリーネ様に代わりまして、私がこちらを管理しようと思っていたのです。エメリーネ様には、まだ補佐官がおられませんでしょう?」
 ゆったりした口調だというのに、彼の身体には黒い蛇がまとわりついているかのような、そんな嫌悪感を呼び起こす。
「そうね。だからわたくしも、早急に補佐官を選ばなければと思っております。それまではこちらのシーラが手伝ってくれるわ。彼女は信頼できるラモン伯爵の娘だもの」
 そしてラモン伯爵は、アルマスの手に完全には落ちていない。そのため彼も、父王が亡くなった後、真っ先に処刑されてしまう運命となるのだが。
 アルマスの唇がヒクリと震え、それと同時に彼の背に黒いオーラが火柱のように立ち上がる。
「アルマス。あなたは不甲斐ないわたくしの代わりに、こちらを確認しようとしてくれたのね?」
 内心を悟られぬよう、エメリーネは優雅に笑顔を作る。
「え、えぇ。そうです。ましてエメリーネ様は怪我をされております。パーティーの間もダンスを楽しめなかったでしょう? あの野蛮な者のせいで」
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