王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 今年のエメリーネの誕生日パーティーは、デビュタントも兼ねていたことから、国内だけにとどまらず近隣諸国からたくさんの関係者が訪れている。
 西の隣国イニドロス国からは国王が五日前から滞在し、父王と宴や狩猟に耽っていた。
 これも一種の外交と言えるのかもしれないが、イニドロス国とアルマスは密かに通じているのだ。これも父王をひきずりおろすための作戦の一つだった。
 シーラが丁寧に淹れたお茶を飲みながら、エメリーネは目録に視線を落とした。
 ガレッティ国内は決して豊かとは言えない。だというのに、誰もがその領地の特産品をエメリーネに贈り物として届けてくれた。
 宝石や貴金属、珍しい花、上質な絹などが並ぶ中、特にエメリーネの目を惹いたのは、南に位置するカウフ子爵領から贈られたお茶だった。その包装や書状からも、その地が決して裕福ではないことがよく伝わってくる。
「シーラ。教えてほしいのだけれど」
「はい、私でわかることであれば」
「カウフ子爵領からの贈り物がシナモンティーと書かれているけれど、これはお茶よね?」
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