王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 だが、今回はその手には乗らない。
 ささやかではあるが、贈り物に対する礼状も準備し、信頼できる者に預けて出してもらうつもりだ。アルマスに知られれば、途中で握りつぶされる可能性もある。となれば、確実に令状を届けてくれる人物が必要となる。
「わたくしではまだ力不足のところはあって、頼りないかもしれないけれど。それでもこの国に住んでいる人たちの暮らしをよりよくしたいという想いはあるのよ?」
 こうやって口にしてしまうと、恥ずかしい気もする。だが、シーラは真剣な眼差しをエメリーネに向けていた。その目尻がやわらぎ「わかりました」と答える。
「エメリーネ様。これは私、個人の考えです。それでもよろしいですか?」
「えぇ。何ごともいろんな意見を聞くのは必要よ?」
 その言葉にシーラも安堵したように、ほっとため息をつく。
「本来ならば、エメリーネ様に贈られたものは、エメリーネ様が管理します。宰相閣下が確認するのは目録のみであって、あのように現場で現品を確認することはありません。何よりも、宰相閣下は忙しい方ですから」
 つまりエメリーネの誕生日プレゼントを確認するよりも、彼にはもっと重要な役割があるはずだろうと、シーラはそう言いたいのだ。
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