王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 確かにアルマスが宝物庫で贈り物を物色していたのは不自然だ。国の腐敗を物語るようなもの。
「エメリーネ様もお気づきのように、今、この国は決して豊かではありません。だからといって、貧困というほどでもないのですが……。以前よりは貧しくなった、という表現のほうがわかりやすいでしょうか」
 つまり、国が腐敗する途中過程にあるというわけだ。だが、これが続けばこの国は貧困と混乱に陥る。それが五年後に待っている。
「先ほど、オウネル侯爵家の話をいたしましたが……私がそれを聞いたのは、エメリーネ様のパーティーのときで。ヨハンが、私に王城仕えを辞めるようにと言ってきたのです」
 やはり、エメリーネの読み通りだった。
「その場は、少し考えさせてほしいと返事をしましたが……父や母に相談しても、恐らくオウネル侯爵家の後ろには、宰相閣下がついているだろうと……つまり、閣下は私とエメリーネ様を引き離したいだけなのでは、と……」
 さすがラモン伯爵、力はないが洞察は鋭い。
 エメリーネは小さく頷き、シーラの言葉を促した。
「両親は、私の意思を尊重してくださいました。それって自分で選べということですよね」
 シーラの声はわずかに震えていた。
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