王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 彼女はどんな声で懇願するのか。どんな声で啼き、どんな声で求めるのか。
 それを想像するたび、下腹部が熱く滾るのを抑えきれなくなる。
 まずは人前で、エメリーネとの関係を見せつける必要があった。贈り物作戦は失敗したが、せめて彼女とダンスを踊り、伴侶としてふさわしいのは自分であると知らしめなければならない。
 アルマスは、ファーストダンスを踊り終えたエメリーネを狙っていた。ここで彼女を捕まえて、続けて二曲、三曲と踊ればいい。世間知らずのエメリーネは、きっと素直に従うはずだ。
 そう踏んでいたのに「宰相閣下、お話を」とうるさい夫人たちが次々とまとわりついてくる。
 それを振り切って急いだものの、エメリーネはすでに聖職者ベルトルトの手を取っていた。
 もっとも彼ならまだよかった。エメリーネと兄妹のように仲が良いことは関係者の間でも有名であるし、司教である以上、彼がエメリーネの結婚相手に名乗りを上げることはできない。
 ベルトルトは敵ではない。むしろ味方に引き入れる価値があるだろう。
 そう考えながら、仲睦まじく踊る二人から視線を離せなかった。
 今度こそアルマスがエメリーネの手を取ろうと意気込んでいたそのとき。
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