王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 彼の声が一瞬震え、すぐに押し殺した。
 エメリーネにオディロンの声はもう届かない。
 最期に彼の指が頬に触れたような気がした。まるで熱に耐えかねるように震えながら。
 かつて彼と交わした一瞬の視線が、エメリーネの胸を締めつけた。あの時、彼の瞳に宿っていたのは、憎しみだけではなかったはず。
 エメリーネの目じりからは、ひとすじの涙がこぼれ落ちる。
 こうして若き公爵オディロンにこの国の未来を託した女王エメリーネは、二十二年という短い人生に幕を下ろしたはずだった――
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