王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
2.
(え? ここは? わたくし、死んだはずでは……?)
目が覚めたエメリーネはがばっと身体を起こした。しかし天国ではなさそうだ。
よく見慣れた部屋。淡い薔薇色の壁紙に花模様が描かれ、金銀の糸で縁取られている。並ぶ調度品も同系色で取りそろえられ、華やかで豪奢なこの室内は見慣れたものだった。
(ここは……わたくしの部屋?)
大きく周囲を見回し、エメリーネははっと気づく。自ら短剣を当てて切ったはずの艶やかな銀青の髪が、肩から胸に流れていた。その髪が本物かどうかを確認するために、一本だけ引っ張ってみる。
「痛っ」
根元からぶちっと音を立てて、髪が一本抜けた。銀青色の長い髪が一本だけ手に残る。
(あのとき……わたくしは自らの手でこの髪を切ったはず……)
髪を切ったざらりとした感触は、まだこの手に残っている。抜いた一本の髪をぎゅっと握りしめ、エメリーネは顔を上げた。
(生き延びた……というわけではなさそうね)
そうであれば、髪は短いままだろう。もう一度手を開けば、一本の銀青の長い髪がしゅるりと落ちていく。
目が覚めたエメリーネはがばっと身体を起こした。しかし天国ではなさそうだ。
よく見慣れた部屋。淡い薔薇色の壁紙に花模様が描かれ、金銀の糸で縁取られている。並ぶ調度品も同系色で取りそろえられ、華やかで豪奢なこの室内は見慣れたものだった。
(ここは……わたくしの部屋?)
大きく周囲を見回し、エメリーネははっと気づく。自ら短剣を当てて切ったはずの艶やかな銀青の髪が、肩から胸に流れていた。その髪が本物かどうかを確認するために、一本だけ引っ張ってみる。
「痛っ」
根元からぶちっと音を立てて、髪が一本抜けた。銀青色の長い髪が一本だけ手に残る。
(あのとき……わたくしは自らの手でこの髪を切ったはず……)
髪を切ったざらりとした感触は、まだこの手に残っている。抜いた一本の髪をぎゅっと握りしめ、エメリーネは顔を上げた。
(生き延びた……というわけではなさそうね)
そうであれば、髪は短いままだろう。もう一度手を開けば、一本の銀青の長い髪がしゅるりと落ちていく。